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妊娠34週、子宮内胎児死亡。
もう少しで産まれるはずだった娘「小夏」を死産した。
死産前夜から宣告の瞬間、心臓を止めた赤ん坊の出産。赤ん坊がこの手にいない産褥期、夫婦で耐える日々。新生活の準備が整っていた部屋で否応無く始まる日常、そして夫と二人で抱える孤独。
「私」の手元にそのとき有効なお手本はなかった。どうすればこの難局を切り抜けられるのか。朝起きるのでさえ苦痛を伴うこの毎日を。それでも、赤ん坊の記憶を抱いて生きていくしかない。
そのときの「私」の希望はただ一つ、「私」のような体験をした人がその後どのように日々を歩んでいったのか。それを知りたかった。それだけだった。
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