知性を持った感情が生み出す言葉は強く、やさしい。そっと鷲摑みされた工場と家庭の現場。「心の花」から今、二人目の石川不二子が生まれた。(藤島秀憲)
【5首】
女でも背中に腰に汗をかくごまかしきかぬ作業着の色
実験室の壁にこぶしの跡があり悔しい時にそっと重ねる
鈍色のスクリューパーツをひとつずつブラシでこする子の歯のように
夕暮れの砂場を掘れば少しずつ獣の手足になる息子たち
教材として触られてカブトムシ脚を一本どこかに落とす
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