『牧野植物園』
渡辺松男
四六判、上製、192ページ
定価:本体2,300円+税
ISBN 978-4-86385-522-9 C0092
装丁 毛利一枝
閉ぢられてある鏡にて白鳥は漆黒の夜をわたりの途中
記憶を歌にする。
ますます研ぎ澄まされていく渡辺松男の歌は
限りなく清明で美しく生命溢れる。
【収録歌より】
土佐の牧野植物園へ飛ばしたり日差しとなりてわたしのからだ
団子虫のやうなる涙吊るすときここから俺は号泣をする
皺くちやの細目の奥のかなしみのその奥のおく虚空燦燦
【著者プロフィール】
渡辺松男(わたなべ・まつお)
1955年、群馬県伊勢崎市生まれ。前橋高校を経て東京大学文学部卒。
歌集に『寒気氾濫』『泡宇宙の蛙』『歩く仏像』『けやき少年』『〈空き部屋〉』『自転車の籠の豚』『蝶』『きなげつの魚』『雨る』。
句集に『隕石』。
現代歌人協会賞、ながらみ現代短歌賞、寺山修司短歌賞、迢空賞を受賞。
「歌林の会」会員。
http://www.kankanbou.com/books/tanka/0522