渡邊英理『 中上健次論』
出版社:インスクリプト
最難関のテクスト『熊野集』を中心に、『地の果て 至上の時』『千年の愉楽』など、路地を舞台とする中上健次の小説群に焦点をあて、それらを(再)開発文学の視座から捉えなおすことで、複数の方向に開かれた路地の「仮設」性に、脱国家・脱資本・脱人間主義を志向する〈路地のビジョン〉=中上思想の核心を見出すとともに、サバルタン研究、クィア批評を援用し、ポストヒューマンの哲学をも方法論的概念として取り込みつつ、犀利な読解によって、中上健次を現在に接続。「路地は状態としてみれば停滞であるが、「運動としてみれば抵抗である」(竹内好)」。没後三十年を期して贈る、俊英による新世代の思想゠文学論。
https://inscript.co.jp/b1/86-8
(版元ウェブページより)