SOLD OUT
最高でも最低でもない、韓国との“中くらい”の友情のかたちを探る雑誌の第12号。
執筆陣は在韓日本人、在日韓国人、長年韓国とかかわってきたメンバー。詩、エッセイ、翻訳、街歩き、韓国伝統食や韓国ロックなど、ユニークな視点で韓国にアプローチします。
目次
わたしの好きなまち⑩ 元暁路 大瀬留美子 4
ソウル鞍山物語⑧ 政権交代 伊東順子 14
東京の魅力と、それでも出て行こうと思った理由 クォン・ジェミン 22
ちゅうとも文学館 烏瞰図より「詩第一号」 李箱著 / 斎藤真理子訳 31
伽倻琴とともに歩んだ日々(二) 李 銀子 35
日本語人アッパの韓国スケッチ⑫
熱狂!熱唱!韓国「スラムダンク」応援上映観戦記 ゆうき 44
韓国タワー探究生活⑫
近代建築の町に立つ現代のタワー ――論山市・トルサン展望台 清水博之 56
コプチャンチョンゴルの飲んだり、食べたり、歌ったり⑫ 佐藤行衛 66
韓国ロックの歴史的名盤(シン・ジュンヒョン)がアナログ盤で復刻
韓国美術行脚⑧ 戦争は見知った顔をしていない
現代美術と6・25 らさおらさ 76
呉泰錫先生のこと 木村典子 86
韓国の美味しい知恵⑧ムクという世界 (前編)どんぐりの味 きむ・すひゃん 98
『詩人白石――寄る辺なく気高くさみしく』を読む 南 椌椌 110
跡 カン・バンファ 118
私のソウルものがたり⑨
春満月を見上ぐことなく――坂本龍一さん 金 利惠 131
前書きなど
韓国を楽しみ、味わい、語り合う。対立を砕いて共感のかけらを集めましょう。
驚きと笑いを肥やしに、中ぐらいを極めます。
世界中が対立的になっていく中、私たちは友だちを大切にしたい。
(「創刊の辞」より)
版元から一言
20年前、30年前の私たちの記憶。その親や祖父母たちの経験。同じ頃に韓国の詩人が書き留めた風景。そして今の留学生が感じたことなども。『中くらいの友だち』12号には、さまざまな時間と記憶が集まりました。「客地で生きるとは」と李銀子さんの書いてくれた言葉が心に沁みます。
子どもの頃、夕方ラッパを吹きながらやってくる豆腐屋さんから、オモニは毎日豆腐を買った。ある年、チェサで使う韓国風の固い豆腐を作れないか相談すると、おじさんは何度か試作品を持ってきたが叶わず、ふたりで残念がった。オモニは代金とともにお礼にキムチを手渡し、おじさんはおばさんのキムチがいちばんだよ、と笑った。隣家の高校教師の一家が引っ越すときは、おばさんにいっぱい助けられた。ありがとう、と妻が別れの涙を流した。それらのエピソードを思い出しながら、客地で生きるとはこういうことだった、と思い知る。 (李銀子「近況」より)
今号もぜひよろしくお願いいたします。
『中くらいの友だち』編集部(伊東順子・斎藤真理子・中山義幸)