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歌人・工藤吉生の最高傑作!!
この歌集には、奇跡の時間が乱暴に折り畳まれている。ゲキツウ。
――渡辺祐真/スケザネ(書評家)
第一歌集『世界で一番すばらしい俺』で衝撃的なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。唯一無二のユーモアをたずさえて、過去と現在、そして夢の中の「オレ」をめぐる322首。
〈収録短歌より〉
十一月四日にリリー・フランキー、NOKKO、名倉潤、オレが生まれた
捨て場所を探して歩くビニールのゴミを握ればオレの温度だ
ウインカーつけて曲がってゆく車 しずかな夜を眠れずにいる
子供にはちょうど良さげな枝だなあ 構えてもよしつついてもグー
あたたかくなってくるのはありがたい母がなにかをゴシゴシしてる
なぜならば面倒くさいことを避けラクをしようとしてたからです
工藤にも生きる権利があるという噓みたいだがほんとの話
カーテンに隙間があって景色には足りず表情にはまだ遠い
引き抜いた白髪まとめて捨てるとき羽根を捨ててるみたいだったな
スーツ着たままデタラメに歩いたらオレしかいない草原に雲
目次
Ⅰ
全身にある
ドブだった
カサブタ
ばあ
Ⅱ
呼ぶな
デタラメに歩く
なんのために?
食欲と詐欺
Ⅲ
せー
彗星の心
うしろへうしろへ
50センチ、または、361キロ
ハーモニー
水面きらきらきらきら
著者プロフィール
工藤吉生 (クドウ・ヨシオ)
一九七九年十一月四日、千葉県生まれ。二〇一一年『ドラえもん短歌』(小学館)で短歌に興味を持ち、インターネットを中心に短歌を発表し始める。二〇一八年「この人を追う」(三〇首)が第六一回短歌研究新人賞受賞。二〇二〇年『世界で一番すばらしい俺』を短歌研究社より刊行。のちに短編映画化(主演・剛力彩芽、監督・山森正志)。
(左右社ホームページより引用)