2014年4月16日に起きたセウォル号事件。修学旅行の高校生をはじめ、助けられたはずの多くの命が置き去りにされ、失われていく光景は韓国社会に強烈な衝撃を与えました。
私たちの社会は何を間違えてこのような事態を引き起こしたのか。本書は、セウォル号事件で露わになった「社会の傾き」を前に、現代韓国を代表する小説家、詩人、思想家ら12人が思索を重ね、言葉を紡ぎ出した思想・評論エッセイ集です。
本書に寄稿している作家たちの文学作品は、近年、日本でも広く翻訳出版され、多くの読者を獲得するようになりました。それら新世代の作家が深く沈潜した場所から発した研ぎ澄まされた言葉の数々は、揺るぎない普遍性を獲得し、「震災後」の世界を生きる日本の私たちの心の奥深くに届くものであると確信しています。
《本書は韓国で増刷を重ね、多くの人に読まれてきました。キム・エラン作『外は夏』に代表される韓国の「セウォル号以後文学」の原点といえる本書を通して、韓国の作家たちが喪失と悲しみにどう向き合ったのかを知っていただければと願っています。》
【目次】
傾く春、私たちが見たもの…………キム・エラン
質問…………キム・ヘンスク
さあ、もう一度言ってくれ。テイレシアスよ…………キム・ヨンス
目の眩んだ者たちの国家…………パク・ミンギュ
私たちの憐れみは正午の影のように短く、私たちの羞恥心は真夜中の影のように長い…………チン・ウニョン
かろうじて、人間…………ファン・ジョンウン
誰が答えるのか?…………ぺ・ミョンフン
国家災難時代の民主的想像力…………ファン・ジョンヨン
じゃあ今度は何を歌おうか?…………キム・ホンジュン
永遠の災難状態:セウォル号以降の時間はない…………チョン・ギュチャン
精神分析的行為、その倫理的必然を生き抜かなければならない時間:抵抗の日常化のために…………キム・ソヨン
セウォル号の惨事から何を見て、何を聞くのか…………ホン・チョルギ
本を編んで…………シン・ヒョンチョル(季刊『文学トンネ』編集主幹)
【著者プロフィール】
キム・エラン(著/文)
金愛爛
パク・ミンギュ(著/文)
朴玟奎
ファン・ジョンウン(著/文)
黄貞殷
キム・ヨンス(著/文)
金衍洙