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福島知己『シャルル・フーリエの新世界』(水声社)

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広大無辺なフーリエ世界への最良の手引き 奇抜な理論とユートピア的な実践でもって、一部の熱心な弟子たちをのぞいては同時代人に理解されず、後年、空想的社会主義者として学説史の端に置かれたシャルル・フーリエの思想は、20世紀後半になってその全容を現し始めた。壮大な歴史観のもとに、種々の造語,奇想天外なエピソードを交えて、理想の共同体の建設を唱える彼の著述は、労働、産業、経済、婚姻、家族、道徳をめぐって、現代社会を根底から覆すアイディアの宝庫であった。 フーリエの著作群に通底する思考の力学を浮き彫りにし、その秘められた可能性を浮上させる14の読解。 【目次】 序文 福島知己 第Ⅰ部 フーリエとは誰か 嗜好の洗練による「文明」から「調和」へのパッサージュ――奢侈をめぐるフーリエと経済学的知……篠原洋治 アナロジー論と自然的平衡錘の理論――『産業の新世界』序文の一草稿の検討……福島知己 アソシエーションの二つの(失われた)起源――フーリエとサン゠シモン主義……金山準 第Ⅱ部 思想の諸相 フーリエの理想建築構想とその変貌……小澤京子 コンフィチュール/コンポートあるいは「調和世界」のパン――フーリエにおける子どもと食の問題……橋本周子 分人主義的結婚論の先駆者フーリエ――『愛の新世界』とヘーゲル『法の哲学』における遺産相続の問題……藤田尚志 密謀,あるいは産業のとばくち――フーリエからだいぶ離れて……森元庸介 第Ⅲ部 フーリエはどう読まれたか 政治的なものの感覚的革命としてのファランステールの爆発的拡大について……フロラン・ペリエ 情念の社会学としての神学――クロソウスキーにおけるフーリエ……大森晋輔 シャルル・フーリエと物書き狂人――レーモン・クノーの視点から……塩塚秀一郎 【幕間】 21世紀におけるフーリエ研究の活力……トマ・ブシェ 第Ⅳ部 フーリエをどう読むか 詩「未来はオーレンカのもの」をめぐって……阿部日奈子 シャルル・フーリエの情念を天然知能的計算に転回する……郡司ペギオ幸夫 フーリエの未来の肉体としての反古墳――いや、墓とは?……中村恭子 【編者/執筆者/翻訳者について】 福島知己(ふくしまともみ) 帝京大学准教授(社会思想史)。主な著書に、『〈フランス革命〉を生きる』(共著、刀水書房、2019年)、主な訳書に、シャルル・フーリエ『愛の新世界』(2006年/増補新版、2013年)、『産業の新世界』(2022年、いずれも作品社)などがある。 * 篠原洋治(しのはらひろはる) 慶應義塾大学非常勤講師(社会思想史)。主な著書に、『近代思想のアンビバレンス』(共著、御茶の水書房、1997年)、『悪と正義の政治理論』(共著、ナカニシヤ出版、2007年)、主な訳書に、ルネ・シェレール『ドゥルーズへのまなざし』(筑摩書房、2003年)などがある。 金山準(かねやまじゅん) 北海道大学大学院教授(社会思想史)。主な著書に、『社会統合と宗教的なもの』(共著、白水社、2011年)、『プルードン 反「絶対」の探求』(岩波書店、2022年)、主な訳書に、ジャンニ・ヴァッティモほか編『弱い思考』(共訳、法政大学出版局、2012年)などがある。 小澤京子(おざわきょうこ) 和洋女子大学教授(表象文化論)。主な著書に、『都市の解剖学――建築/身体の剥離・斬首・腐爛』(ありな書房、2011年)、『ユートピア都市の書法――クロード゠ニコラ・ルドゥの建築思想』(法政大学出版局、2017年)、『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022年)などがある。 橋本周子(はしもとちかこ) 関西学院大学准教授(思想史)。主な著書に、『美食家の誕生――グリモと〈食〉のフランス革命』(名古屋大学出版会、2014年)などがある。 藤田尚志(ふじたひさし) 九州産業大学教授(フランス近現代思想)。主な著書に、『愛・性・家族の哲学』(全3巻、編著、ナカニシヤ出版、2016年)、『ベルクソン 反時代的哲学』(勁草書房、2022年)、主な訳書に、アンリ・ベルクソン『記憶理論の歴史』(共訳、書肆心水、2023年)などがある。 森元庸介(もりもとようすけ) 東京大学大学院教授(フランス思想史)。主な著書に、La Légalité de l’art. La question du théâtre au miroir de la casuistique (Cerf, 2020)、主な訳書に、ピエール・ルジャンドル『ルジャンドルとの対話』(みすず書房、2010年)、ルイ・サラン゠モランス『黒人法典――フランス黒人奴隷制の法的虚無』(共訳 明石書店、2024年)などがある。 フロラン・ペリエ(Florent Perrier) レンヌ第二大学准教授(美学・芸術理論)。主な著書に、topeaugraphies de l’utopie — esquisses sur l’art, l’utopie et le politique(Payot, 2015)があり、校訂書に、Simone Debout & André Breton, Correspondance 1958-1966(Paulhan, 2019)、Philippe Ivernel, Walter Benjamin. Critique en temps de crise (Klincksieck, 2022)などがある。 大森晋輔(おおもりしんすけ) 東京藝術大学教授(フランス文学・思想)。主な著書に、『ピエール・クロソウスキー――伝達のドラマトゥルギー』(左右社、2014年)、『ピエール・クロソウスキーの現在――神学・共同体・イメージ』(編著、水声社、2020年)、主な訳書に、クロソウスキー『かくも不吉な欲望』(共訳、河出文庫、2008年)などがある。 塩塚秀一郎(しおつかしゅういちろう) 東京大学大学院教授(フランス文学)。主な著書に、『レーモン・クノー――〈与太郎〉的叡智』(白水社、2022年)、『逸脱のフランス文学史――ウリポのプリズムから世界を見る』(書誌侃侃房、2024年)、主な訳書に、レーモン・クノー『リモンの子供たち』(水声社、2012年)などがある。 トマ・ブシェ(Thomas Bouchet) ローザンヌ大学連携教授(一九世紀社会政治思想史)。主な著書に、Utopie (Anamosa, 2021)、Chateaubriand et la révolution de 1830(La Fabrique, 2022)、L’aiguille et la plume. Jules Gay, Désirée Véret, 1807-1897(Anamosa, 2024)などがある。 阿部日奈子(あべひなこ) 詩人。主な詩集に、『海曜日の女たち』(書肆山田、2001年)、著書に『野の書物』(インスクリプト、2022年)、主な訳書にダニエル・シュミット『楽園創造』(大和プレス/平凡社、2009年)などがある。 郡司ペギオ幸夫(ぐんじぺぎおゆきお) 早稲田大学教授、神戸大学名誉教授(生命理論)。主な著書に、『TANKURI――創造性を撃つ』(共著、水声社、2018年)、『かつてそのゲームの世界に住んでいたという記憶はどこから来るのか』(青土社、2022年)、『創造性はどこからやってくるか――天然表現の世界』(筑摩書房、2023年)などがある。 中村恭子(なかむらきょうこ) 日本画家、大阪大学中之島芸術センター准教授。展覧会に「脱創造する御柱」(諏訪市美術館、2022年)、「立ち尽くす前縁・立ち尽くされた境界」(2022年)、「フーリエの日々」(いずれもアートスペースキムラASK?、2022年、2023年)など多数、主な著書に、『TANKURI――創造性を撃つ』(共著、水声社、2018年)がある。 * 清水雄大(しみずゆうだい) 獨協大学他非常勤講師(フランス哲学・思想)。主な訳書に、ティフェーヌ・サモワイヨ『評伝ロラン・バルト』(共訳、水声社、2023年)などがある。 (水声社ホームページより引用)

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