original
『歌集 風の音楽』
赤司忠子
ISBN978-4-86385-634-9 C0092
四六判、上製、208ページ
老来のこころを寄せて公園のベンチに
聞きをり風の音楽
故郷、父、母、兄、夫、子、そして愛犬
喜びと別れとかなしみが交差し、溶け合う
老いて奏でる心沁みる歌
われに棲む鬼も老いたり追儺(ついな)の豆撒かず迎ふる立春大吉
カンディンスキーの画集広ぐる女(ひと)のゐて不意に明るむ梅雨の車中
小春日に謳ふ小鳥の声ふりて己のからだの音楽をきく
哀しみが流るるならば青年よあなたのやうに傘ささでゆく
赫々と天焦がしゐる櫨紅葉(はぜもみぢ)かく炎え逝かば悔いなかるべし
もくじ
Ⅰ
春の跫
春は往きけり
秋天の道
寒の新月
Ⅱ
郷
祖の村
赤楽茶碗
杜鵑草
リビング・ウィル(尊厳死)
Ⅲ
いのちの鳴り
熟年バス
愛犬サム
食卓と厨
茶の湯
Ⅳ
アンブレラ
たづきまぼろし
生きもの
空
あとがき
【著者プロフィール】
赤司忠子(あかし・ただこ)
大分県日田市生まれ
現在、福岡県歌人会員、久留米連合文化会短歌部員
「歌と評論賞」等受賞