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多胡吉郎『椋鳩十と戦争』

2,200円

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『椋鳩十と戦争』 ~生命(いのち)の尊さを動物の物語に~ 多胡吉郎 四六判、並製、240ページ ISBN 978-4-86385-638-7 C0095 装幀 毛利一枝 生誕120年 今こそ、椋鳩十ルネサンスを! 『大造じいさんとガン』『孤島の野犬』『マヤの一生』…… 数々の動物物語で知られる椋鳩十。戦争の時代を駆け抜けた作家人生と苦渋の日々から紡ぎ出された、愛とやさしさに満ちた物語世界を紐解く。 「椋の動物物語は、戦時下の時局との緊張のなかで、研ぎ澄まされ、磨かれた」(本文より) 動物を通して生命(いのち)の尊さを伝えた児童文学作家、椋鳩十。今も広く愛されるその作品は、戦争という時代の悲劇から生まれた。長野県のアルプス山麓に生まれ育ち、鹿児島県で教鞭をとりつつ、霧島、屋久島など、野性の輝きに満ちた大自然の中で動物の生態観察を続けた椋。豊かな物語を育んだのは、人と動物の交流、生命への惜しみない愛だった。 「正しい心は、魔法にだって、負けないはずだ」(椋鳩十「山男と子供」より) 【もくじ】 はじめに 第一章 作家誕生。自由への憧れを謳う山窩小説 第二章 戦時下に綴った生命の尊さ。「少年倶楽部」の動物物語 第三章 開戦前夜に誕生した名作「大造爺さんと雁」 第四章 戦地と内地をつなぐ心。「嵐を越えて」が越えたもの 第五章 戦時動員。「絶妙の墨加減」に見る作家と教師の間 第六章 戦争を超えた生命のパラダイス、屋久島。「片耳の大鹿」 第七章 戦争の傷跡から生まれた「孤島の野犬」 第八章 戦争が人の心を狂わせる。「マヤの一生」 第九章 ノルマンディーの戦跡で 第十章 小さな生命の窓を重ねて あとがき 【登場する作品】 「大造じいさんとガン」/「山の太郎グマ」/「金色の足あと」 「嵐を越えて」/「三郎と白いガチョウ」/「片耳の大シカ」 「孤島の野犬」(3部作)/「王者の座」/「消えた野犬」 「丘の野犬」/「マヤの一生」/「熊野犬」/「山窩調」 「鷲の唄」/「太郎のかた」/「山男と子供」/「ヤクザル大王」 「海上アルプス」/「港町の老夫婦」/「人間はすばらしい」 「ヒューマニズムの火」/「命の木」/「縄文杉」 椋鳩十(むく・はとじゅう) 1905年、長野県喬木村に生まれる。大学卒業後、鹿児島県に移住。28歳の時に『山窩調』で作家デビュー。後に児童向けの動物物語に転じ、戦争が激化する中、動物を通し命の尊さを訴える。戦後も一貫して動物物語を書き続け、戦争の記憶をもとに数々の名作を著す。1987年、鹿児島で死去。代表作に「大造じいさんとガン」「孤島の野犬」「片耳の大鹿」「マヤの一生」など。国際アンデルセン賞国内賞、第1回赤い鳥文学賞、芸術選奨文部大臣賞その他を受賞。 【著者プロフィール】 多胡吉郎(たご・きちろう) 1956年生まれ。東京大学文学部卒。NHKでの番組制作を経て2002年より文筆の道に進む。『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』(2006 河出書房新社)、『長澤鼎 ブドウ王になったラスト・サムライ~海を越え、地に熟し~』(2012 現代書館)、『猫を描く~古今東西、画家たちの猫愛の物語』(2022 現代書館)その他の著書がある。2023年、『生命の谺 川端康成と「特攻」』(現代書館)によって、第35回和辻哲郎文化賞を受賞。

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