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たとえこの地球に散り散りに住むことになったとしても家族でいられるように、わたしたちは将来の約束をしない-ー群像の好評連載がついに単行本化。新進気鋭の美術家による清冽なエッセイ。
「実際のところ別に名前自体はどうでもいいとは思うが、必ずしも恋愛にもとづかない関係をときどき家族と名乗ることができたりする社会になったらいいのにな、とは心から思う。
けれど、わたしの中にある「家族」への固執は、おそらくもっと身勝手で、ままならない何かに紐づいている。自分の心と体が誰にも支配されることのない家を、安心して帰れることが約束された家を、わたしはこの手で作り直したかったのだと思う」(本文より)
目次
なめらかな人
ママと娘
骨が怖い
交差点
ビオランテ
カラオケ日和
ねじれたヌード
底意地の悪い
ドクメンタの夜
晋吾のスカート
肉を噛む
バッド・ゲームの向う側
見ない、見えない、見なくていい
身籠り
あの銅鑼が鳴る前に
石に歯
ぬいぐるみたちの沈黙
労働と蕩尽
マイホーム
続・マイホーム
白い塀
遥かなるゾーニング
秘密の融点
砂のプール
あとがき
著者プロフィール
百瀬 文 (モモセ アヤ) (著/文)
1988年東京都生まれ。2013年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。映像によって映像の構造を再考させる自己言及的な方法論を用いながら、他者とのコミュニケーションの複層性を扱う。近年は映像に映る身体の問題を扱いながら、セクシュアリティやジェンダーへの問いを深めている。主な個展に「百瀬文 口を寄せる」(十和田市現代美術館、2022年)、主なグループ展に「国際芸術祭 あいち2022」(愛知芸術文化センター、2022年)など。主な作品収蔵先に、東京都現代美術館、愛知県美術館、横浜美術館などがある。2023年に作品集『百瀬文 口を寄せる Momose Aya: Interpreter』を刊行。