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邵丹『翻訳を産む文学、文学を産む翻訳』(松柏社)

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【紹介】 村上春樹という作家の文化的ルーツの一つには1970年代の翻訳文化がある。この時代の「新しさ」の視点から「新しい翻訳」「新しい形」で出版された実際の翻訳書や若者文化の勃興のもとで誕生した「新たな」文化空間を、藤本和子、SF小説の翻訳家たちの翻訳を通して丹念に辿る。翻訳という行為の壮大な可能性が見えてくる。 ▶︎津野海太郎、藤本和子、巽孝之、柴田元幸、岸本佐知子、伊藤夏実、くぼたのぞみ(以上敬称略)といった翻訳家、SF評論家、編集者の方々に著者がインタビューした内容も収録。 【目次】 ▶︎序章 七〇年代末頃の文学趣味の変革──村上春樹の登場 七〇年代の発話困難──翻訳を通しての自己発見 先行研究のまとめ──三つのアプローチとその不足点 同時代的想像力とは何か──二つのの構想 ▶︎第一章 七〇年代の翻訳を検討するための理論的枠組み エヴェン=ゾハルと多元システム理論 トゥーリーと記述的翻訳研究 ▶︎第二章 七〇年代の翻訳が置かれた歴史的な文脈 Youngsters come into being──日本の戦後社会史上における「若者」の登場 理想の時代──「太陽族」と呼ばれる戦後派青年像 夢の時代──若者の誕生に伴う「反乱」という形での激痛 虚構の時代──文化の再編成とサブカルチャーの細分化 七〇年代の大きなパラダイムシフト──近代読者から現代読者への転移 近代読者の歩み──先行する読者論 現代読者の肖像──「新大衆」という消費者層の台頭 文学全集と雑誌から見る読者層の二重構造 ▶︎第三章 ケース・スタディⅠ:ひとりの訳者、複数の作者──藤本和子の翻訳 「エクソフォニー」の系譜に連なる翻訳家──「サブカルチャー」的な生き方 六〇年代の小劇場運動における藤本和子の参加(アンガージュマン) 演劇中毒──ふたりの演劇仲間 運動としての演劇──Concerned Theatre Japan の編集作業 地下という流れに惹かれて──対抗的姿勢 立ち上がるマイノリティ、女性たち──黒人女性の「声」の復元 差別問題のパラダイム転換のために──「報告」の力 聞書という言文一致体──もうひとつの地下の流れ 新たなる沈黙に「声」を──『死ぬことを考えた黒い女たちのために』の翻訳 強かな反逆、企てられた革新──日本におけるブローティガン文学の翻訳受容 七〇年代を代弁する小説家──作品群における「パロディ」の活用 ブローティガンのサンフランシスコ時代──対抗文化との関わり 小説群が受容された経緯 『アメリカの鱒釣り』における「新しい形」の正体 ブローティガンの文体的特徴 『アメリカの鱒釣り』における「新しい翻訳」の正体 ▶︎第四章 ケース・スタディⅡ:ひとりの作者、複数の訳者──日本語で構築されたカート・ヴォネガットの世界 新しい小説の書き手カート・ヴォネガット 強い肉声の響きを持つ作品群──ヴォネガットの語り口調 アメリカ小説の崩壊──ニュージャーナリストたちの奪権 Welcome to the Monkey House ──日本におけるヴォネガット文学の受容 六〇年代の黎明期──SFファンダム、共同体の形成 七〇年代の転換期──打ち寄せる「新しい波(ニューウェーブ)」、薄れゆく境界線 八〇年代以降の発展期──SFが豊かな文芸ジャンルへ 複数の翻訳家によるカート・ヴォネガット世界の構築 伊藤典夫と『屠殺場5号』(一九七三年)、『スローターハウス5』 (一九七八年) 池澤夏樹と『母なる夜』(一九七三年) 浅倉久志と『スラップスティック』(一九七九年) 飛田茂雄と『ヴォネガット、大いに語る』(一九八四年) Translator as a Hero ──ヴォネガット受容の中心的な役割を担うSFの翻訳 翻訳一辺倒時代の『SFマガジン』──SF専業翻訳者の第一世代 「SFの鬼」福島正実の文学路線──SFの定義をめぐる論争 七〇年代における知的労働の集団化──SF界の翻訳勉強会の発足 ▶︎終章 「若さ」に基づく文化的第三領域の生成──二つのケース・スタディが示すもの ポリティカル・コレクトネスへ向かうカウンターカルチャー 文学的な地位向上を経験するSF 七〇年代の翻訳文化──ブローティガン、ヴォネガットとの共振 展望──文化的秩序の「脱構築(デコンストラクション)」のあとに 注/ 参考文献 /索引 【著者プロフィール】 邵丹(ショウ・タン) 1985年生まれ。名古屋外国語大学教養教育推進センター専任講師。 北京語言大学外国語学院英語専攻卒業、上海外国語大学高級翻訳学院翻訳学専攻修士課程修了、東京大学人文社会科学研究科欧米系文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。東京大学博士学位(文学)。 

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