惜しくも2011年に逝去したグリッサンの長篇代表作、マルティニック・サーガの核心部、遂に姿を現す。
奴隷船でカリブ海・マルティニック島に運ばれたアフリカ黒人の、対立し混じりあう二つの家系を軸に、六代にわたる年代記が描くアフロ=クレオールの歴史。記憶を創造し、歴史を奪い返す想像力の冒険。
神話的興趣と散乱する詩語、語りの実験性において、グリッサンが最も影響を受けたフォークナー『アブサロム、アブサロム! 』『響きと怒り』にも比べうる作品を最良の訳で。
著者プロフィール
エドゥアール・グリッサン (エドゥアールグリッサン) (著/文)
1928年フランスの海外県マルティニック島の山村に生まれる。詩人、小説家、思想家。現代カリブ海文学を代表する文学者。フランス領カリブ海発クレオール思想の論客。パトリック・シャモワゾーらに大きな影響を与える。2011年パリにて没。『〈関係〉の詩学』『フォークナー、ミシシッピ』『全=世界論』『多様なるものの詩学序説』『レザルド川』『痕跡』等、思想と文学にまたがる著作の精力的な翻訳紹介が続いている。