人の心には一匹の猫がいて、そのもらい手を絶えず探している。自分で自分を飼いならすのはひどく難しいから、だれもが尻尾を丸め、人のふりして暮らしている。
恋する私たちを描く、文月悠光の第3詩集。
目次
空の合図
わたしたちの猫
選ばせたもの
みんな甘えたがり
夜明けのうつわ
愛は比べようもなく
四月一日の告白
ばらの花
女の子という名のわたし
たてがみのように
レモンの涙
砂漠
主人公
夏の観測席
まぶたの傷
春にはいない虫
片袖の魚
耳のはばたき
教室という小箱
わたしは光
ふたりの狭間
スローファイヤー
片手のゆくえ
卒業
迷い猫
物語の恋人
あとがき
著者プロフィール
文月悠光 (フヅキユミ) (著/文)
1991年北海道生まれ。詩人。中学時代から雑誌に詩を投稿し始め、16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年時に出版した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少の18歳で受賞。早稲田大学教育学部在学中に第2詩集『屋根よりも深々と』(思潮社)を刊行。2016年、初のエッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)を刊行。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、書評の執筆など広く活動している。