{{detailCtrl.mainImageIndex + 1}}/1

イスマイル・カダレ著、平岡 敦訳『砕かれた四月』(白水社)

残り2点

2,310円

送料についてはこちら

「生者とは、生の許しを受けた死者にすぎない」 二十世紀初頭のアルバニア北部の荒涼たる高地。この土地を支配するのは「カヌン」と呼ばれる、先祖伝来の終わることのない復讐の掟である。兄の血を奪い返した山岳民の若い男ジョルグは、三十日間の休戦の猶予ののちに自らの死を待つ身だった。しかし、この土地を新婚旅行で訪れた作家の妻ディアナと、馬車の窓越しにただ一度視線を合わせたことで、ふたりは命を賭してその運命を交錯させてゆく――。伝説と神話の影をまとった悲劇の時空間が立ちのぼる、忘れがたく美しい叙事詩的散文。 現代のアルバニア文学を、そして世界文学を牽引したカダレの作品は、フランス語を筆頭に四〇以上の言語に翻訳され、ノーベル文学賞の候補にたびたびその名が挙がったが、作家は二〇二四年七月に惜しまれつつ八十八歳で亡くなった。カダレの創作全体を見渡す井浦伊知郎氏(アルバニア語学・翻訳)による解説を巻末に付す。 イスマイル・カダレ (イスマイル カダレ) (著) アルバニア南部ジロカスタル生まれ。ティラナ大学卒業後、モスクワのゴーリキー文学大学に留学したが、アルバニア・ソ連関係の悪化を受けて帰国。ジャーナリストとして雑誌に関わるかたわら詩作品を発表、のちに小説家として『死者の軍隊の将軍』(63)、『草原の神々の黄昏』(78)、『誰がドルンチナを連れ戻したか』(81)、『夢宮殿』(81)などで高い評価を獲得する。90年には一時フランスに政治亡命。作品は40以上の言語に翻訳され、2005年の第一回国際ブッカー賞をはじめ、アストゥリアス王女賞(09)、エルサレム賞(15)、ノイシュタット国際文学賞(20)など数多の文学賞に輝いた。 平岡 敦 (ヒラオカ アツシ) (訳) 1955年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、中央大学大学院修了。中央大学講師。主な訳書に、カダレ『誰がドルンチナを連れ戻したか』、グランジェ『クリムゾン・リバー』、ビュッシ『恐るべき太陽』、ジャプリゾ『シンデレラの罠』、カサック『殺人交叉点』など。ルメートル『天国でまた会おう』で日本翻訳家協会翻訳特別賞、ルルー『オペラ座の怪人』で第21回日仏翻訳文学賞受賞。

セール中のアイテム