「働いているのに、なぜ貧しいのか。」
農民と革命家の対話で読む、アナーキズム入門の古典。
一八八三年、イタリアのアナーキスト革命家エッリーコ・マラテスタによって書かれた『農民たちのあいだで』は、アナーキズム入門の古典として世界中で読み継がれてきた代表作である。
物語は、農民出身の若い革命家ジョルジョと老農夫ベッペとの対話によって進む。国家とは何か。財産とは何か。なぜ働いているのに貧しいのか。社会はなぜ不平等なのか。選挙で社会は変わるのか。革命後、人々はどのように暮らすのか。
マラテスタは、こうした問いを難解な理論としてではなく、農民たちの素朴な疑問と応答を通して具体的に語っていく。労働、貧困、格差、所有、国家、宗教、自由、連帯、革命――アナーキズムの基本的な考え方が、驚くほど平易な言葉で示される。
書かれてから百四十年以上が過ぎた。しかし、そこで語られる問題は、まるで現代のことのようでもある。
世界中で読み継がれてきた名著、待望の現代口語訳。アナーキズムを初めて知る人にもすすめたい一冊。
目次
はじめに
農民たちのあいだで アナーキーについての対話/エッリーコ・マラテスタ
原注
訳注
エッリーコ・マラテスタについて
エッリーコ・マラテスタ略年譜
マラテスタ逝く/石川三四郎
前書きなど
はじめに
本書『農民たちのあいだで』(Fra Contadini)は、一八八三年にイタリアのアナーキスト革命家エッリーコ・マラテスタによって書かれた小冊子である。
本書は、農民出身の若い革命家ジョルジョと老農夫ベッペとの対話によって進む。国家とは何か。財産とは何か。働いているのになぜ私たちは貧しいのか。そして社会はなぜ不平等なのか。そうした問いについて、二人は語り合う。
本書が書かれてから百四十年以上が過ぎた。そこに書かれる農村の暮らしや労働のあり方は、もちろん現代とは異なる。だが同時に、そこで語られる問題は、まるで現代のことのようでもある。百四十年前とこの社会は本質的に何も変わっていないのかもしれない。そして、働くこと、貧しさ、格差、権力、自由といった問題は、形を変えながらもなお、私たちの前に存在している。本書が現在も読み継がれているのは、そのためだろう。
『農民たちのあいだで』は、もともとアナーキズムの思想を広く人々へ伝えるために書かれたテキストである。難解な理論書ではなく、読み書きのできない人にも読み聞かせによって内容が伝わるよう、対話形式で平易に書かれている。そのため本書は、今でもアナーキズムへの最良の入門書の一つとして評価されている。
近年、日本でもアナーキズムへの関心は再び高まりつつあるが、その古典的文献を日本語で読むことは難しい状況にある。本書はそうした中で、現代の読者がマラテスタの言葉に触れることができるよう、現代口語訳として刊行するものである。
本書が、アナーキズムを知るきっかけとなるだけでなく、この社会について考える手がかりとなれば幸いである。
マヌケ出版社
版元から一言
働いているのに、なぜ貧しいのか。国家とは何か。財産とは何か。社会はなぜ不平等なのか。百四十年以上前にマラテスタが語った問いは、いまも驚くほど私たちの社会と重なります。世界中で読み継がれるアナーキズムの代表的思想家でありながら、その著作を現在の日本語で読む機会はきわめて限られています。だからこそ今、このアナーキズム入門の古典を、読みやすい現代口語訳で刊行します。
著者プロフィール
エッリーコ・マラテスタ (エッリーコ・マラテスタ) (著)
エッリーコ・マラテスタ(Errico Malatesta 1853–1932)
イタリアのアナーキスト革命家。バクーニン、クロポトキンと並ぶ近代アナーキズムを代表する思想家・実践家の一人。生涯を革命運動に捧げ、投獄・亡命を繰り返しながら各国で活動した。理論だけでなく現実の闘争と相互扶助を重視し、『農民たちのあいだで』『アナーキー』など多くの古典を著す。現在も世界中で読み継がれるアナーキズムを代表する著者である。
B6変形判 縦160mm 横110mm 厚さ8mm 110ページ 並製
価格 1,200 円+税 1,320 円(税込)
ISBN978-4-910661-02-5